GFC白浜を拠点に行きたい西国三十三所観音巡礼~観音霊場・和歌山の旅
和歌山県は西国三十三所巡礼スタートの地で、観音霊場の中でも自然豊かな環境と歴史ある寺院が魅力的なエリアです。1番札所から3番札所までの3つの札所があります。
このうち紀伊半島の東側にある那智勝浦町の1番札所を除く2番の紀三井寺と3番の粉河寺は和歌山市周辺にあります。
和歌山城や和歌山ラーメンといったおすすめスポット、グルメなどとともにご紹介いたします。
西国三十三所第2番札所~紀三井寺
巡礼の最初の目的地である「紀三井寺」は、JR紀勢本線の紀三井寺駅から歩いて約11分です。駐車場は周辺に2か所あります。
紀三井寺は、和歌山県和歌山市に位置する救世観音宗の総本山寺院です。山号は紀三井山、院号は護国院。寺号は金剛宝寺ですが、古くから紀三井寺と呼ばれています。本尊は十一面観世音菩薩を祀り、西国三十三所第二番札所として古くから多くの参拝者を集めています。入り口すぐの朱色が美しい楼門は国指定重要文化財で、500年前の室町時代に建てられたものです。
本堂まで続く231段の石段は「結縁厄除け坂」と呼ばれ、古くから多くの参拝者が登ってきました。ケーブルカーは、山麓の楼門下から山上の仏殿下まで約1分で結んでいます。体力に自信がある方は、階段を登ることをおすすめします。階段からの景色は格別です。時間がない方や、足腰に不安がある方は、ケーブルカーを利用することをおすすめします。
ケーブルカー乗り場
紀三井寺の起源は古く、奈良時代の宝亀元年(770年)に唐僧・為光上人によって開基されたと伝えられています。為光上人は、中国から日本に渡来し、全国を巡礼する中で紀三井寺の地にたどり着き、金色に輝く千手観音菩薩のお姿を感得したとされています。
宝暦年間(1751年〜1764年)に再建された本堂の内部には本尊の十一面観世音菩薩が安置されていますが、秘仏のため一般公開はされていません。
鐘楼は安土桃山時代に建てられたと伝わり、国指定重要文化財です。
2002年に完成した仏殿は、高さ25メートルで、上階は展望台となっています。
内部には高さ12メートルの木造千手観音立像を安置しています。この巨大な観音像は現代最高の仏師と呼ばれる松本明慶の作品です。
紀三井寺は、和歌の浦の近くにあり、古くから歌枕としても知られています。紀貫之や藤原定家など、多くの歌人が紀三井寺を題材に歌を残しています。また、和歌山藩主・徳川家も深く信仰し、歴代藩主が参拝したとされています。
◆紀三井寺
住所:〒641-0012 和歌山県和歌山市紀三井寺1201
TEL:073-444-1002
拝観料:境内無料
開門時間:8時~17時
参考サイト:https://www.kimiidera.com/
西国三十三所第3番札所~粉河寺
奈良時代後期、宝亀元年(770年)に大伴孔子古によって草庵が結ばれたのが始まりとされる粉河寺は、JR和歌山線粉河駅から徒歩15分、駐車場も完備されています。
鎌倉時代には七堂伽藍が整い、隆盛を極めたものの、天正13年(1585年)の豊臣秀吉による紀州征伐で灰塵に帰してしまいます。現在の壮麗な伽藍は、主に江戸時代に再建されたものです。
江戸時代前期に建てられた大門は、国指定重要文化財です。
門の先の参道は右手に曲がり、参道の右側は川、左側には本坊などの諸堂が並びます。
参道の先には国指定重要文化財の中門が建ちます。1700年代後半から1800年代半ばの半世紀をかけて建てられたといいます。
本堂前の斜面は巨石を並べた庭園(粉河寺庭園・国の名勝)になっています。ダイナミックな造形で見る者を圧倒します。
本堂は、西国三十三所の寺院の中でも最大級のサイズです。
本堂は江戸中期の再建で2層入母屋造り、唐破風や千鳥破風を複雑に組み合わせた国指定重要文化財です。
本尊の千手千眼観世音菩薩は秘仏で、本堂下の地中に埋められているといわれていますが、本尊を模した御前立ちを拝むことができます。
粉河寺は、古くから西国三十三所の中でも特に霊験あらたかな寺院として知られており、厄除けや病気平癒、恋愛成就など様々なご利益があるとされ、多くの人々が参拝に訪れています。
◆粉河寺
住所:〒649-6531 和歌山県紀の川市粉河2787
TEL:0736-73-4830
拝観料:境内無料・本堂内400円
参考サイト:https://www.kokawadera.org/
和歌山城~紀州徳川家の名城
和歌山城は、和歌山市の中心部に位置する標高48.9mの虎伏山(とらふすやま)山頂に建造された平山城です。JR和歌山駅・南海和歌山駅から徒歩約10分〜15分ほどで、バスも走っています。
徳川御三家の一つ紀州藩紀州徳川家の居城であり、城跡は国の史跡に指定されています。
和歌山城の築城は、天正13年(1585)に豊臣秀吉が弟の秀長に命じて開始されたのが始まりです。築城を担当したのは、築城の名人・藤堂高虎でした。その後、元和5年(1619)には徳川家康の第10男・頼宣が入城し、紀州55万5千石の城となり、以来、水戸・尾張と並び、徳川御三家のひとつとして、長い歴史を刻んできました。
和歌山城の見どころとして有名なのは、やはり石垣です。
和歌山城の石垣は、野面(のづら)積み、打ち込みハギ、切込接(きりこみはぎ)の3種類の積み方が組み合わされています。
野面積みは、自然石をそのまま積み上げた石垣で、和歌山城築城当初の豊臣秀長時代に築かれた石垣に多く見られます。石は緑色片岩(紀州青石)を中心とした結晶片岩。
打ち込みハギは、石の表面を粗く加工して「接ぎ」合わせて積み上げた石垣で、浅野幸長時代に築かれた石垣に多く見られます。石は砂岩(和泉砂岩)。
切込接は、石材を精密に加工して積んだ石垣で、徳川頼宣時代以降に築かれた石垣に多く見られます。石は熊野の花崗斑岩。
和歌山城の石垣は、このように時代によって積み方が異なるだけでなく、石の種類も異なります。和歌山城の石垣は、長い歴史の中で築かれてきた様々な時代の技術が結集された、まさに石垣のデパートと言えるものです。
司馬遼太郎も、「街道をゆく」の「紀ノ川流域」編で和歌山城を訪れ、石垣を気に入っていたといいます。
しかし、和歌山城は天守も見事なものです。江戸時代には火災で焼失し、再建されましたが昭和の戦災で焼けました。現在の天守閣は、昭和33年(1958)に再建されたものです。
コンクリート造りで、文化財指定もされていない天守ですが、昔の設計図や空襲前の写真が数多く残っていたため、かつての天守閣が忠実に再現されています。
コンクリート造りの復興天守は昭和の時代にいくつも建てられ、名古屋城などは木造で復元を目指していますが、和歌山城は建て替えの必要がないほど見事な出来栄えと言えます。
コンクリートに見えないどころか、現存天守だと言われても納得できるほどです。
和歌山城には、大奥がありました。大奥というと江戸城のイメージですが、江戸以外には名古屋城と和歌山城にだけ大奥が存在していました。
御橋廊下は、西の丸庭園と藩主の生活の場である二の丸大奥とをつなぐ廊下橋です。
徳川期にかけられた全長27メートルの廊下橋で、江戸時代の図面を基に平成18年(2006)復元されました。名勝・西之丸庭園(紅葉渓庭園)から無料で内部を通って渡ることができます。
また、お城の敷地内には無料の動物園もあります。
うさぎやペンギン、カピバラやリス猿もいます。
◆史跡 和歌山城
住所:〒640-8146 和歌山県和歌山市一番丁3
TEL:073-435-1044
入城料:敷地内|無料、天守閣|大人410円・小人(小中学生)200円、名勝 西之丸庭園(紅葉渓庭園)無料
開城時間:9:00〜17:30(入場は17:00まで)
参考サイト:http://wakayamajo.jp/index.html
◆和歌山城公園動物園
住所:〒640-8146 和歌山県和歌山市一番丁3
TEL:073-424-8635
入園料:無料
開園時間:9:00〜17:00
休園日:6~9月、12~2月の火曜日(祝日の場合は直後の平日)
参考サイト:http://wakayamajo.jp/animal/index.html
駅周りのグルメ~和歌山ラーメン
和歌山のグルメといえば、海産物や南高梅がありますが、市街地には和歌山ラーメンのお店が点在しています。特にJR和歌山駅周辺には、「井出商店」さんや「丸美商店」さんといった有名店が集中しています。
駅前通り
和歌山ラーメンの麺はストレートが多く、具はチャーシュー、なると、メンマ、ネギといったオーソドックスです。コクのあるまろやかな豚骨スープと醤油が絶妙に絡みます。
「丸美商店」の和歌山ラーメン(中華そば)
老舗の「丸田屋」さんや「井出商店」さんには、早ずしがテーブルに積まれています。早ずしとは鯖の押し寿司のことで和歌山の特産品です。この早ずしやゆで玉子は好きに食べて、あとで清算します。
ほとんどのラーメン店は和歌山ラーメンですが、和歌山駅構内には、台湾まぜそばがおいしいお店もあります。
「中華飯店 香来」台湾まぜそば
◆丸美商店
住所:〒640-8331 和歌山県和歌山市美園町5丁目61-1 MIO本館 B1F
TEL:073-426-1881
営業時間:10:00~22:00
休業日:年中無休
参考サイト:https://tabelog.com/wakayama/A3001/A300101/30005575/
◆中華飯店 香来
住所:〒640-8331 和歌山県和歌山市美園町5丁目61 B1F
TEL:073-424-8635
入園料:無料
開園時間:9:00〜17:00
休園日:6~9月、12~2月の火曜日(祝日の場合は直後の平日)
参考サイト:https://tabelog.com/wakayama/A3001/A300101/30005615/
和歌山の観音様を感じる旅
紀三井寺と粉河寺の観音様はどちらも秘仏ですが、50年に一度開帳とされる紀三井寺の本尊十一面観音に対して、粉河寺の本尊千手千眼観世音菩薩は、絶対秘仏とされています。
秘仏とは、厨子などの扉が閉じられたまま祀られ、普段は公開されていない仏像を指します。一方、絶対秘仏は、秘仏の中でも特に厳重に管理され、開帳されることがない仏像です。
秘仏が設けられる理由は様々ですが、神聖すぎて一般の人々の目に触れるべきではないとされたり、光や温度変化などを避ける目的があります。
秘仏の場合は御前立ち(本尊に似せて造られた仏さま)を代わりにして普段の参拝ができるようにしていますが、粉河寺などは御前立ちさえも古く神聖で重要な秘宝であるため秘仏となっています。
紀三井寺も粉河寺も観音様を直接拝むことはできないものの、広い境内や神聖な空気、または大きな観音様など、近くへ行くことで観音様を感じることはできます。秘仏や絶対秘仏は、その神秘性ゆえに人々の信仰を集めています。ぜひ和歌山の観音さまや市街地の散策に出掛けてみてください。