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越前パラデシア周辺情報

越前・若狭は文化財の宝庫 癒される仏像巡りの旅へ

嶺南といわれる若狭エリアは、敦賀から高浜まで東西に長い形になっています。

若狭は「海のある奈良」といわれるほど古くから高い文化が発達しました。なかでも小浜市には国宝文化財に指定される数々の仏像や建築物が集中しています。

GFC越前パラデシアから小浜までは北陸自動車道から敦賀ジャンクションで舞鶴若狭道へ入って小浜インターまでおよそ1時間半、敦賀までは海岸沿いの道を使ってもさほど変わりません。また、GFC奥琵琶湖レイクシアからでも、熊川街道で1時間あれば行けます。

今回は貴重な国宝文化財を見ることができる、若狭エリアのおすすめスポットをご紹介します。

 

多田寺~国指定重要文化財・薬師如来と十一面観音菩薩

小浜市の多田地区は、東西に走る若狭街道から南に入って少し山手へ行ったところにあります。多田寺はおよそ1300年前、奈良時代・749年に創建されました。

ご本尊の薬師瑠璃光如来は平安時代のもので、像高192.5cm、眼病治癒にご利益ありといわれます。薬師如来は正式名を薬師瑠璃光如来といいます。瑠璃光とは、阿弥陀如来の西方浄土に対応する、東方にあるとされる浄瑠璃浄土を指しています。平安時代でも初期の作で、若狭でも1、2を争う古い仏像です。以前は60年に一度しか御開帳されなかった秘仏で、地元では「多田のお薬師さん」と呼ばれています。

もうひとつの国重要文化財は薬師瑠璃光如来の脇侍、十一面観音菩薩です。薬師さんの脇侍というと、通常奈良の薬師寺にある日光菩薩と月光菩薩ですが、こちらは頭の上に11面のお顔が乗っていますので、「日光十一面観音菩薩」ということになります。

薬師瑠璃光如来と日光十一面観音菩薩、どちらも平安時代らしい優しい笑顔で、お顔がふっくらして両頬が豊かです。同時に、ヒノキの素地が露わになっていて、かえって霊的な雰囲気が漂っています。

十一面観音菩薩は手が長く、膝まであります。これに限らず、観音像は手が長く作られる傾向があるのは、「仏の32相」によるものです。仏の身体に現れる32の特徴的な形のことをいいます。たとえば、偏平足であるとか、手足の指に水かきがあるとか、後光が差しているとか、両頬が隆満しているとか、舌が長いとか、手足が長い、などです。仏様の種類によってどれが当てはまっているか比べながら鑑賞することもできます。


引用:若狭小浜のデジタル文化財


引用:小浜八ヶ寺巡り

◆多田寺
住所:〒917-0026 福井県小浜市多田29-6
電話番号:0770-56-0894
営業時間:9:00~16:00
参考サイト:https://www1.city.obama.fukui.jp/kanko-bunka/jisha-shiseki/89.html

 

明通寺~国宝・本堂と三重塔

明通寺は、東小浜駅から南西へ小浜朽木高島線をおよそ6㎞走った、山手にあります。

平安時代の初期、征夷大将軍の坂上田村麻呂が戦いで命を落とした人たちを弔うために建立したといいます。本堂と三重塔は、共に鎌倉時代に建てられ、国宝になっています。福井県内の国宝はこの2点のみです。

派手派手しい塗装や装飾ではなく、彫刻も控えめで、周囲の自然と一体化している感覚は、都会の観光寺院では味わえない雰囲気です。

本堂内の本尊・薬師如来像とその両脇に立つ降三世明王&深沙大将の3体が国の重要文化財です。堂内は撮影禁止です。

この3体の仏像は周囲の静かな雰囲気とは一転して強い個性を発揮しています。3体ともに大きいだけでなく威厳あるお姿で、口を開けて怒鳴っているように見えたり、への字口で静かな怒りを表し、強い眼力でわたしたちを睨みつけてきます。若狭の仏像は阿弥陀様と観音様が多く、その美しさと優しい雰囲気にこころ癒されますが、明通寺の仏様は例外です。

◆明通寺
住所:〒917-0237 福井県小浜市門前5-21
電話番号:0770-57-1355
営業時間:9:00~17:00
公式サイト:https://myotsuji.jimdofree.com/

 

国分寺~国指定重要文化財・木造薬師如来

若狭国分寺は、東小浜駅に近い若狭街道沿いにあります。

およそ1300年前の奈良時代741年、聖武天皇の詔によって、全国に国分寺が作られました。東大寺は国分寺の中心で、若狭国分寺は東大寺に続いて建てられたといいます。

北陸では他に越前武生、石川県能登、富山県高岡市に建てられていますが、若狭国分寺は現在の福井県の中心として認識されているようです。そのため若狭国分寺は国指定史跡として登録されています。堂内は厳に撮影禁止です。

当時の建物は、焼き討ちや火災によって失われましたが、昭和47年から3年間にわたって行われた発掘調査により、 広大な敷地の中に南大門や金堂、塔などの建物が整然と並ぶ大伽藍であったことが明らかになっています。現在の本堂の屋根は、一見瓦に見えますが銅板を瓦型に成形したもので、少なくとも20年以上経って緑青という緑色が出始めています。

本尊の薬師如来は 鎌倉時代のもので、像高79.7cm。もとは国分寺の近くにあった国分尼寺の本尊であったと伝わっています。尼僧さんたちが人々の安寧を祈った仏様であるせいか、お体も丸く優しく、お顔立ちもどこか女性的なお薬師様です。重要文化財の仏さまは、専用の薬師堂に安置されています。

318cmと非常に大きい釈迦如来も鎌倉時代のものですが、お顔は江戸時代に改められ、お体にくらべてかなり大きいです。そのせいか、実際のサイズよりもさらに大きく見えます。


引用:若狭小浜のデジタル文化財

◆国分寺
住所:〒917-0231 福井県小浜市国分53-1
電話番号:0770-56-2519
営業時間:9:00~16:00
参考サイト:http://www1.city.obama.fukui.jp/kanko-bunka/jisha-shiseki/76.html

 

神宮寺~国指定重要文化財・本堂と仁王門、「お水送り」

神宮寺は、東小浜駅から南へ、遠敷川沿いにおよそ4キロ南下した場所です。途中には「若狭姫神社」「若狭彦神社」があります。

東大寺の二月堂で毎年行われている「お水取り」で使われる若狭のお水を送っているのが、この神宮寺です。この神宮寺境内の井戸と奈良の東大寺の二月堂前の井戸までのおよそ100㎞が地下で繋がっているとされています。

国指定重要文化財の本堂は室町時代末期の建築で、檜皮葺きの屋根が曲線のラインを非常に美しく見せています。

同じく国指定重要文化財の仁王門は鎌倉時代末期の建築です。この門から本堂まで実に200mはあります。

神宮寺はお寺ですが、もともとは神社の別当として建てられ、現在も神仏習合の様式を残しています。

『若狭守護群記』によると、戦国時代、豊臣秀吉に寺領を没収されるまでは、若狭を治めていた武田氏の住居になっていたともいわれ、武田元明と妻の京極龍子、さらに3人の子どもたちが暮らしていたことになります。京極龍子は近江の浅井長政の姉である京極マリアの長女で、京極高次の姉に当たります。京極龍子を気に入った豊臣秀吉は夫の武田元明を諜殺し、自分の側室にしてしまいました。秀吉は残された武田の子どもも抹殺しようとしましたが、3人の子どもたちのうちひとりは逃亡し、ひとりは京都で仏門に入り、ひとりは行方不明になっています。

神宮寺から遠敷川を少し遡ると、「お水取り」の水を汲む「鵜の瀬」という澱みがあります。

若狭の古仏を愛し、神宮寺のあとここへ寄った随筆家・白洲正子さんは「夕闇の中で川のせせらぎに耳を澄ましていると、千年の歴史が甦ってくるようで、私は深い感銘を受けた」と『十一面観音巡礼』のなかで書いています。

◆神宮寺
住所:〒917-0244 福井県小浜市神宮寺30-4
電話番号:0770-56-1911
営業時間:9:00~16:00
参考サイト:https://www.obama-8-temples.jp/temples/jinguji/

 

萬徳寺~国指定重要文化財・木造阿弥陀如来

萬徳寺は、東小浜駅の南、「若狭姫神社」「若狭彦神社」とこの万徳寺でちょうど三角形の位置になります。

入り口が2か所あり、どちらもあまり目立たないため車で通るとわかりにくいのですが、少し南にある駐車場から歩くとわかります。

万徳寺には、国指定の名勝になっている埋石式枯山水庭園があります。茅葺き屋根の書院のお座敷からこの庭園を見せてもらうことができます。

これは大小の石が複雑に配置されていて、弘法大師空海の金剛界曼荼羅を表現しています。曼荼羅とは宇宙のどこにどんな仏様がいるのかを大日如来を中心に表したものです。通常、曼荼羅というと平面に描かれていて、京都の東寺には仏像が配された立体曼荼羅がありますが、それで言うならここは「庭園曼荼羅」といった趣です。

庭園から石段を登ると、阿弥陀堂があります。万徳寺は国指定重要文化財で平安時代作の木造阿弥陀如来座像で有名です。

当時の主流だった定朝様(じょうちょうよう)の影響が強く、平等院鳳凰堂の阿弥陀様によく似ています。定朝様とは、仏師の定朝によって作られた平等院の阿弥陀如来像に習った様式で、穏やかな顔立ちとまろやかな身体表現が特徴です。優しく柔和なお顔立ちで、ヒノキの素地が感じられるにもかかわらずあたかも目の前にいらっしゃるように錯覚するほど訴えかけてくるものがあります。

萬徳寺は戦国時代、領主の武田元明の父武田信豊により若狭国唯一の駆込み寺として認められました。罪を犯した者が入ると唯一許されるのが駆け込み寺です。実は秀吉の追っ手を警戒して神宮寺から逃げた武田元明の子どものうち2人がこのお寺に身を寄せたと言われています。さらに後年、京極高次がここへその2人を探しに寄ったともいわれます。

◆萬徳寺
住所:〒917-0242 福井県小浜市金屋74-23
電話番号:0770-56-2308
営業時間:9:00~16:00
参考サイト:https://www.obama-8-temples.jp/temples/mantokuji/

 

まとめ

小浜には見ごたえ充分な文化財がたくさんあります。今回ご紹介したものの他にも、若狭姫と若狭彦のツイン神社、福井県指定史跡の小浜城跡や、美しさで定評のある羽賀寺の十一面観音菩薩像は重要文化財。

また、正林庵の国指定重要文化財、銅像如意輪観音半跏像は、奈良時代のもので、古い仏像が多い若狭の中でも最古で非常に美しく貴重とされています。ただ、こちらのお寺は地元で管理されており、拝観料はなんと1万円。完全予約制で、盗難防止のため地元の方数人で立会いのもと、という極めて厳重な体制です。拝観料がずいぶん高いというのは京都で3000円という神社がありましたが、知る限りでは日本一高い拝観料です。

若狭エリアはGFC越前パラデシアからでもGFC奥琵琶湖レイクシアからでも行けますので、ぜひお立ち寄りの上、国宝巡りをお愉しみください。

この記事を書いた人
かのまお
放浪ライター。年の半分は福井や滋賀など関西~北陸を中心に放浪しています。尊敬する人は山下清。小説も出版してます。

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